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元失業者の現在労働者 健康で文化的な最低限度の生活をめざす劣等社会人のブログ 世の中厳しいですが、がんばりましょう 大衆演劇と競輪初心者です
第一部 前狂言
外題 老後の忠治

というようなわけで、気を取り直した私は、芝居を観たのであった
だん丸座長が主役の芝居は、初めてだった

<あらすじ>
目明し勘太郎(中野貴之助)の一家に、お役人が訪れる

勘太郎よ、国定忠治がここへくるかもしれぬ
え、忠治は張り付けで処刑されたのでは
いや、実は忠治を語る偽者だった
・・・・・・
勘太郎、拙者が目をかけたことで今があるのを忘れていまいな
へい
なら、拙者を裏切るようなことはするなよ、忠治が現れたら必ず連絡するように
へ・・い

夜になって、勘太郎が奥で休んでいると、トントントンと音がする、玄関に人の気配
勘太郎が戸をあけると、一人の足の悪い老人(中野だん丸座長)が立っている
家の中に招き入れ、老人が所望した水を与えると、勘太郎は、ハッと気づき、
あなたは、国定忠治親分ではありませんか
いや、と一度は否定したものの、話すうちに老人は、俺が忠治である、勘太郎元気だったかと語る
勘太郎は、世話になった恩人の忠治に
親分のおかげで、こうやってまっとうな暮らしができております
その節はありがとうございました

赤ん坊だった勘太郎が立派に成長した姿を見て、忠治は、
昔話を語り始める
国定村の悪代官を切り、米蔵をあけ飢え死に寸前の百姓たちに米を分けあたえたこと、赤城山に立てこもったこと、勘太郎の父親の勘助がいかに立派な目明しだったかということ
一通り語り終えた忠治は、前のめりになった聞いていた勘太郎を前に、意を決して俺に縄を打てという・・・

<感想>
私はこの芝居も初見であった
主役を演じた中野だん丸座長を見なおしていた
というか私は、ほとんどだん丸座長を知らなかった、というのが正しい
4月の真芸座のゲスト出演と、前回11月3日の喜劇調の二人忠治の本物の忠治役
それしか観てなかったので、主役を演じたのを観たのは今回が初めて
結論から言えば、だん丸座長は芝居がうまい
おそらくまだ20代であろうだん丸座長だが、
勘太郎の一家に、訪れた瞬間から、老忠治であった
私には、だん丸座長が老人に見えた
年は若いが、さすが座長と名乗るだけある
この物語の登場人物は、5人
その中の、藤博太、中野雅、中野旭は、芝居の冒頭のみの出演ですぐに舞台を去った
その後は、忠治老の中野だん丸、勘太郎の中野貴之助のみの二人芝居
勘太郎は、主に老忠治の聞き役といった役柄だったので、8割は老忠治のひとり芝居という趣であった

ゆえに、この芝居では、老忠治を演じる役者の技量で良し悪しが決まるだろう
今回の老忠治、中野だん丸座長は、なかなかのものであった
出てきたときから、私には老人に見えたし、多くの独り語りも良かった

独り語りは、難しいと思う
なぜなら、言葉だけで、赤城山のことや、勘太郎をどういう経緯で助けたかを説明せねばならない
どんなに芝居が上手な座長クラスでも、この一人語りが苦手で、この芝居を出せない劇団もあるのではないかと思う

噺のプロ、落語家や講談師、あるいは俳優の故渥美清、あるいはさだまさしのような言葉の力が必要
たとえば、寅さんでおなじみの故渥美清
彼は、男はつらいよの映画の中で、妹のさくらをはじめ、車屋の面々を前にし、一人語り始める

お寺の鐘が、ボー―――ンと鳴る
あたりは暗くなり始めている
夕暮れ時の山村の家々に明かりがともる・・・・

寅さんが、そういう言葉をしゃべっただけで、映画館の観客たちはその情景が画像となって浮かぶ
いわゆる有名な寅のアリアだ
山田洋次監督は、渥美清さんの話術は、しゃべりの専門噺家に匹敵する
そこらの役者ではなりたちません
と、何かの番組で言っていた
つまり代役が効かない役者さんだったとのこと

さて、今回の主役だん丸座長
今まで2回、私はだん丸座長を観たことがあったが、ともに口上挨拶をされてた
とても、口が達者な役者さんだなあという印象を持っていた
だから、今回の忠治役は、口が達者なだん丸座長向きともいえる

一幕一景の芝居だった
私は、そういう舞台、何も変わらず、幕も閉まらない芝居は、あまり好きではないが、だん丸座長の熱演のおかげで、満足したのであった
やはり、座長を名乗る役者さんは、大したものだなあ、と私は感心したのである

<追記>
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劇団は、久しぶりに乗った劇場で、
ただいま帰りました、と挨拶し
劇場の観客は、
お帰りなさいと応えると言う
日本語とは、かくも美しきものなのだ

画像は、松山劇場の最後方の壁に張られていたもの
おそらく、昨年の5月に松山劇用で公演した鳳凰座のファンのどなたかが、張ったものと思われる
アナログちっくな、この文字が
なんとも温かい気持ちにさせてくれる
そんな心持ちになりましたね
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