元失業者の現在労働者 健康で文化的な最低限度の生活をめざす劣等社会人のブログ 世の中厳しいですが、がんばりましょう 大衆演劇と競輪初心者です

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11月9日ふれあい公演

第三部 特選狂言
外題 森の石松

<あらすじ>
30石船の上、乗客たちが話をしている
上州の大前田英五郎親分はきいたことあるけど、東海道にはいい親分、聞いたことありませんねえ
そこで、江戸っ子(中野だん丸座長二役)が
何を言ってやがんでえ、東海道にはすでにいい親分があるじゃねえか、清水港宇土町に住む山本長五郎、通称、清水次郎長、これが海道一の親分よ
その様子を、片眼光らせて聞いてた石松(中野加津也座長)が、立ち上がり、
江戸っ子だってねえ
神田の生まれよ
酒を飲みねえ、寿司を食いねえ、と江戸っ子に酒と寿司を振る舞う
江戸っ子は、次郎長親分だけが偉いんじゃないよ、子分の中に5、6人次郎長ぐらい強いのがいる
へえ、誰が強いかい?
大政に小政、大瀬半五郎、増川仙右衛門、法印大五郎と名前が出てくるが、自分の名前が出てこない
誰か忘れてやしないかい?あっ客人、一人強いのを忘れていたよと、やっと石松の名前が出たと思ったら、あいつは東海道一の馬鹿だから将来立派な親分にはなれません
石松は、喜んだり、がっかりしたり、最後は切れちゃう

場面変わって、茶屋の個室のようなところ
都鳥吉兵衛(中野だん丸座長)と都鳥常吉(中野貴之介)が、花会があるが130両ないと男になれない、30両はなんとかなったがあとの100両がどうしてもできないと相談している
そこへ都鳥梅吉(中野博太)が入ってきて、100両できた、そこで飲んでる石松が持ってる、それを借りよう
石松を呼んで、上座に座らせ酒を飲ませ、清水次郎長は日本一の親分、森の石松は日本一の子分とおだてあげ、100両貸してくれと言う
これは、見受山から親分へと預かった香典だから貸せないと断る石松に、
都鳥吉兵衛は、もしここに清水次郎長がいれば、きっと貸してくれるはず、2日後に必ず返すから、さあみんな頭をさげろと三人で土下座して石松を丸めこみ、ついに石松は100両を貸してしまった

約束の2日を過ぎても返さないので、石松が都鳥三兄弟に、早く返せどうなんだと言っていると、都鳥吉兵衛が背後からだましうち
3人と切りむすび、隙をみて、小松村に逃げ込んだ石松
小松村七五郎宅で、都鳥にやられたと押し入れに匿われる
石松と七五郎が兄弟分と知ってる都鳥三兄弟が、長脇差を手に七五郎宅へ
石松が来ただろう、石松を出せい
だが、七五郎とお民の度胸で都鳥を追い返す
浜松の医者に行こう、俺がついていってやると、七五郎に言われるが、それを振り払い礼を言って、七五郎宅をあとにする石松
都鳥にだましうちされた傷が痛くって、歩けなくなった石松が、閻魔堂のお堂の中で休んでいると、
都鳥三兄弟が、石松を探しにやってきたのだった・・・・

<感想>
これは、なんとも凄まじい作品であった
1時間20分~30分の芝居だったが、かなりのものが盛り込まれていた
30石船のくだりからなので、途中のエピソードが贅肉をそいだダイジェストっぽくなってたのは否めない
だがその分、閻魔堂での石松の最期が念入りに描かれていた

まず最後の一景である閻魔堂の舞台は、まん中に閻魔堂があり、非常に暗い照明のなか青白いライトが薄く照らされ、普段の絵に描いた背景とか木の他に、笹の木が二本閻魔堂の左右に設えており、
まるで、怪談噺のお岩さんでも出てくるような不気味な舞台演出であった
ああ、こんなところで石松は死んでいくのか、と思うと観てるのが嫌になるくらいの念の入れようだった

都鳥にだましうちにされた傷が痛かったが、次郎長親分の悪口を言う都鳥三兄弟に、どうしても我慢がならなくなった加津也石松は、とうとう閻魔堂の外に飛び出してしまう
三人相手に切りむすぶが、体が悪いので劣勢となりぶっ倒れる
倒れ方も半端なく、ひざから崩れるのでなく、直立した状態から90度、頭から床に倒れこむというような、体に負担がかかる倒れ方
これが、2度3度と繰り返される
倒れた状態で三兄弟になぶられるシーンもあった

元結が切られてるので、落ち武者のように髪の毛がだらりと左右に下がり、口からは血糊をたらし悲壮な表情
だが、石松は倒れても倒れても立ち上がったのであった
私は、これを観てて涙した
加津也座長は、いじめっこじゃあないが、ここまで念入りにやられると、普段泣かない私でも、加津也石松の姿に涙があふれた
ここは、この芝居の最大の見せ場で、長い時間をかけて演出されていた

先日、フィギュアスケートの羽生結弦選手がグランプリシリーズで、直前の練習で中国の選手と激突し流血し負傷したにも関わらず決勝に出場し、4回5回と転倒しながらも滑り切り2位に入り、世間の人に感動を与えたというのがあった
私もテレビで観てて、何度も何度も立ち上がるその姿に、がんばれがんばれと応援した
人間のああいう姿と言うものは、感動を与えるし、美しいと思う
加津也石松が倒れても倒れても立ち上がるので、私も心の中で、がんばれ、がんばれ石松がんばれなぞと思っていると、なんと奇跡が起こった
石松が最後の力を振り絞り、劣勢な状況の中、都鳥の二人の弟を切り倒したのである
最後に残った都鳥吉兵衛には、横一文字に腹を切られ致命傷を負うが、その直後吉兵衛を袈裟がけに切り、合い打ちに持って行った

私は前の記事の通り、芝居の森の石松で、都鳥に石松は殺されるが、第三部のラストショーで石松の仇を次郎長親分が討つのではないだろうかなぞと、予想をしたのだが、
そんな、江戸の敵を長崎で討つというような、まどろっこしいものではなく、芝居の森の石松の中で、石松自身が都鳥を成敗することでちゃんと客はカタルシスを得て、完結する構成となっていた
下手な考え休むに似たり

他日、松山劇場に行ったとき、休憩時間に他の客ががしゃべってるのを聞くとはなしに聞いていると、この日の「森の石松に感動し、涙したよ、加津也座長はちょっと違う」と話してるお客がいて、そうですよねえ、あれは泣きますよと私は心の中でつぶやいたのであった
それにしても、すごい芝居だった、ありがとう加津也座長

それと一つ気づいたことがある
都鳥三兄弟を石松が切るシーンだが、鯉名の銀平の殺陣に似たシーンがあるのを発見した
加津也石松が、刀を直立させ、背後にいる都鳥兄弟を制して見得を切るところと、
加津也石松が、博太梅吉の首に長脇差の刃をあて、博太梅吉が蛇に睨まれた蛙のように、固まったのち首を落とすシーン、
その直後、貴之介常吉が前方宙返りをして仰向けに倒れたところを、長脇差で上から串刺しにするシーン
これは、鯉名の銀平の殺陣の流用というか応用だろうと思う、あるいは逆
私は決して苦情を言うとか、そういうのではない
ラストショー鯉名の銀平をもう一回やりますよ、といえば、是非観に行きたいくらいに素晴らしかったなあと思ってるので

それに、最後までかっこよかった銀平にくらべ、石松には悲壮感が漂い、同じ殺陣としても、全然印象が違う

他劇団で私が今まで観た中では、剣劇になっても、型と言うのだろうか、ひらりひらりと刃さえ交えず、死んじゃうというのがあった
それに比べると、鳳凰座の少なくとも鯉名の銀平の殺陣は、スピードも速く見てて危ないくらい迫力があった
森の石松では、故意なのか事故なのかは分からないが、殺陣のシーンで、舞台に設えてた笹の木の枝に刀の切っ先が当たり、ポキっと折れてしまったのだが、
あれが、間違って役者さんの顔にでも当たったら大変だ
ゆえに、加津也座長とからみの3人は、相当稽古して息を合わせているのだろう
私は、前の記事に書いた通り、鳳凰座のベテラン二人を加えた5~6人くらいで、石松殺しをするのかと予想してたが、
あの殺陣をするには、息があった3人のからみが必要だし、貴之介さんは、前方宙返りをしなければならないので、若い役者じゃなきゃならない
15歳の博太さんを含めてでも、鯉名の銀平のからみの3人を都鳥三兄弟にする必要があったのだろうと推察する
大衆演劇は毎日芝居の外題を変えて演じるのだから、危険な殺陣は息が合ってる役者でするほうがいい

それに、鯉名の殺陣は、ほんの一部であり、森の石松の殺陣は本当に長時間これでもかというくらいに、繰り広げられたからね
舞台に倒れうずくまった加津也石松からは、ワイヤレスマイクを通して、ぜえぜえという吐息が漏れ聞こえてきたほどだ

まあ、ともかく私はこの森の石松に感動し、涙した
古い雑誌の加津也座長の言葉、鳳凰座の売りは昔ながらの芝居です、というのは伊達ではなかった

あと、中野だん丸座長が中野加津也座長の次に、この日は光ってた
前狂言の老後の忠治の一の線の忠治役
切狂言 森の石松の30石船の三の線の江戸っ子役
さらに、悪役の都鳥吉吉兵衛
それぞれ演じ分けていた
江戸っ子では、寿司を食いねえ寿司を、と言われるたんびに、太巻きだとかいなりずしなぞを口いっぱいに頬張ってしゃべるので、客席には笑いが起こっていた
江戸っ子の啖呵も、面白く演じて私は笑えた
30石船での寿司は、大阪押し寿司と決まっているが、この芝居では違っていたが、それは押し寿司が四国なので手に入りにくかったのかもしれないし、あるいは、太巻き、いなりずしの方が大きさが大きいので、ビジュアル的にそっちの方が面白く見えるからあえてそれを選んだのかもしれない

劇団は観客に、来てくれてありがとうと言い
客は、見せてもらってありがとうと応える
このウインウインの関係となった、森の石松は素晴らしい作品でございました

昼の部のみの、ロング公演は予定では、4時間の長丁場だが、今回はさらに4時間20分の大熱演
割引き効かずでやや高い印象の2100円の入場料、しかし私はそれ以上のものを見せてもらい大満足させてもらいました
また行きたい

この日の公演の翌日が、休館日だったが、
休みの少ない大衆演劇の役者さん
座長はじめ、一座のみなさんのリフレッシュになってれば、と願っております

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コメント
この記事へのコメント
涙が出ました。

山口様、おはようございます。

今朝のブログを拝読し、私は山口様の文章から、加津也座長がどんな思いで「森の石松」を演じられたのかを拝察し、思わず涙が溢れました。

座長が口上挨拶の際に数回おっしゃっていたので公言ともとれるのですが、実は加津也座長は昨年、頚椎を傷められ(頚椎症性神経根症)現在も定期的に受診治療をなさっておられます。この疾患が厄介なのは、頚椎の一部の骨の歪みが原因で、手や足の痺れ、ひいては激痛に襲われ、治療法は痛み止めの内服と、首や肩に負担をかけないことしかないのですが(私は整形外科医ではありませんが医師をしております上、私自身も頚椎症に罹患してますので詳細を存じ上げてるのです)座長は重い鬘や着物を纏われてお仕事をなさるので、ご病気が良くなられるどころか悪化なさるばかりなのです。
以前送り出しの際に症状を窺うと「今は、片方の脚全体に絶えず水が流れている不快な感覚で、舞台から客席へ降りる、だった3、4段の階段も怖いくらいなんです。役者としてみっともない限りです」と、とても辛そうにおっしゃっていました。
頚椎症は一旦患うと良くなるということはありませんから(座長も主治医に手術を勧められておられるようですが、手術をなさっても完治は難しいのです)今朝の山口様のブログを拝見して、座長がどれほどの思いでこの石松を演じたのかを考えただけでも、私は涙を禁じ得なかったというわけなのです。
ですから、山口様のこのブログを座長がご覧になったら随分お喜びになられることだと拝察致しました。

座長はあの通りの抜群のルックスですから、ファンの方の中にはそこばかりおっしゃる方も多いと思うのですが、私は山口様が感じられたように、座長が昔ながらのお芝居を次世代に継承なさりたいという強いお気持ちで舞台に臨まれているお姿が最も素敵だと考えております。

長々と書き連ねましたが、座長が辛いご病気を抱えながらも舞台に立ち続けてらっしゃる事をお含み頂いた上で、山口様にも公演をご覧頂きたく、余計なこととは存じましたがコメントさせて頂きました。

それから、24日のロング公演は、ラストに花魁ショーをなさるようです。
加津也座長の花魁は、その気品ある美しさと妖艶さ、そしてお召し物の艶やかさを含め、日本一だと思いますので、一見の価値有りです。
もしお時間がございましたら劇場に足をお運び下さり、また感想をお聞かせ下されば幸いに存じます。
2014/11/16(日) 10:17 | URL | コスモス #-[ 編集]
森の石松…こちらのバージョンをやられたんですね(;_;)
あぁぁぁ行けば良かったと、本当に後悔しとります(>_<)
この日のロング公演に行かれたお客サンは皆さん満足されたんでしょうね~♪
老後の忠治に森の石松…。
素晴らしい作品を観れて羨ましいです。

次のロング公演も、お芝居2本あると聞きました(^^)
次こそは(^-^;!!!

山口サン素晴らしいレポありがとうございました(*´-`)
2014/11/16(日) 14:24 | URL | JEWEL #-[ 編集]
4時間半近くの長い
清水次郎長ってと「商売繁盛や勝負運の「森の石松」の墓へ」http://tomotaroukun.blog116.fc2.com/blog-entry-949.htmlで書いた記事に沿ってる気がしました。
2014/11/16(日) 20:19 | URL | 智太郎 #Cv7CRq2s[ 編集]
コスモスさん
加津也座長が、そんな病気を抱えておられるとは、信じられません
そんなこと微塵も感じさせない舞台です
驚きました
やはり、お客さんに満足してもらおうという心から、まさに体を張っての舞台だったのですね
すごい
違ってるかもしれませんが、頸椎を損傷すれば、首から下が動かせなくなるくらいの大事なとこだと聞いたことがありますから、神経とかも集中してるのでしょうね
足の件も驚きです
松山劇場は、けっこう舞台が高いので、まさしく3、4段ほど階段があるのですが、座長は舞踊ショーで必ず2回か3回は階段を降りて、観客の近くにきてくれます
そんな思いをしてまで降りてこられてたのだなあ
コスモスさんはお医者さんで、頚椎症も患っておられるので、言葉に重みがありました
コメントありがとうございます
2014/11/16(日) 22:55 | URL | 山口ジジイ #-[ 編集]
JEWELさん
そうなのですよ、良かったですよww
24日は私、行けそうにないのですが、その際にはレポートお願いしますね
雰囲気だけでも、楽しみたい
ふれあい公演初めてだったのですが、ほんと芝居が二つ観れるし、また行きたいです

智太郎さん
石松の墓に行かれたんですね
いいな、私も行ってみたいのですが
石松の墓石が削られて、現在3代目というのは、私も聞いたことがあります
2014/11/16(日) 23:03 | URL | 山口ジジイ #-[ 編集]
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