元失業者の現在労働者 健康で文化的な最低限度の生活をめざす劣等社会人のブログ 世の中厳しいですが、がんばりましょう 大衆演劇と競輪初心者です

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花の三兄弟は、この日で3回目の観劇となる
前2回は、私が苦手な喜劇だったのだが珍しく楽しめたので、ぜひ花の三兄弟の悲劇が観てみたいと行ったのが、この日

第一部 特別狂言 
 
芸題 喧嘩屋五郎兵衛


<あらすじ>
喧嘩屋五郎兵衛(玄海花道花形)は、子分二千人を抱える一家を、一代で築きあげた大親分
大立者の五郎兵衛だが、一つ大きな悩みがあった、それは顔の醜いアザ
ゆえに、女とは縁がなかったのだが、
ある日、一家に八百源(筑豊國太郎頭取)が訪れ、
親分さん、桜木屋のお嬢さんが、あなたに惚れて嫁にして欲しいと言ってます
ばかな、そんなことあるわけないだろう、こんな顔の男に
いや、それが本当なんです、心意気に惚れたって、あっしも何度も確認したんです
絶対に本当なんだな
へい
おい、もし間違いだったら、おめえの首を刎ねるがそれでもいいんだな
ええ大丈夫です、何度も確認したんですから、間違いありません
よし分かった、それならば善は急げという言葉がある、今夜にでも仮祝言をあげよう

喧嘩屋五郎兵衛、思いもかけない出来事に、大いに喜ぶ
さっそく結納金を用意し、一家の三下奴、亥之助(筑紫桃之助座長)に持って行かせる
桜木屋に届けに行った亥之助、
このたびは、おめでとうございます、これは結納金でございます
あら、可笑しいわ、結婚する親分さんがみずから結納金を持ってくるなんて
ええっ、私は喧嘩屋の子分の亥之助ですよ
そんな、私が惚れたのはあなたよ
何を言ってるんです、喧嘩屋五郎兵衛親分と結婚してください
いやよ、あんな顔の男と結婚するくらいなら死んだほうがまし

桜木屋の娘が見染めたのは、喧嘩屋五郎兵衛でなく三下奴の亥之助であった
娘のこの些細な勘違いが、のちにとんでもない悲劇を生むことになる・・・・

<感想>
私は、この芝居も初見であったが、これは凄まじい作品であった
超悲劇とでもいうか、誰も救われない悲しい物語である
私は喜劇より悲劇が好きなので、この芝居はとても良かった
喧嘩屋五郎兵衛は、顔のアザの劣等感で女は諦めてたのに、娘の勘違いで心のバランスを崩してしまった
喧嘩屋も、亥之助も、実兄の朝比奈も悪くないのだが、一つの勘違いにより、引くに引けないスパイラルに陥り、悲しい結末に行き着く
いうなれば、全ての元凶が娘であり、この娘が無責任過ぎて腹が立つ

芝居の幕が開き、序盤は八百源を演じた筑豊國太郎頭取が、絶好調で、アドリブ全開、客席いじり
最前列のミニスカートの若い女性客に、あんたパンツが見えそうやけん、と羽織をかけてみたり
挙句の果ては、芝居の自分の台詞の途中勝手に舞台を降りて空いてる客席に座り、芝居を観劇して、茶々を入れだす始末
(舞台にいる女中役の女優に対し)おかあちゃん、明日九州の舞台にゲストで出ないかんけん、金をくれ
金はありません、早く舞台にあがって
財布の中は請求書ばっかりやけんね、ちんぽんしゃーん
悪乗りというより、もはや暴走機関車といった風情
観客の多くは唖然といった風情だったが、おそらく遠征と思われる追っかけか、贔屓筋かの5人程の集団だけが、げらげらと高笑いして異様に受けていた

私なぞは、あーあ、花の三兄弟の特別狂言ってこれ?、結局は笑いにもっていくのか、果たして最期までいけるのだろうかと心配したほどだ

だが、話が深刻になってくる中盤以降は、ピリリと辛くなり頭取も真面目に芝居した

主役の玄海花道花形は、最期狂気を帯びてくる喧嘩屋五郎兵衛を、いわゆる山を上げ情感たっぷりに熱演していた
とくに、不要となった祝言用の酒樽を飲み干し、長脇差の刃を鏡にみたて、己の醜いあざをみてにやりと笑ったあと、うぉーーと絶叫する様や
最期、亥之助が自ら命をたち、喧嘩屋五郎兵衛も絶叫しながら腹を搔っ捌いて絶命する場面では、固唾を飲み舞台を見守る客席は異様な緊張感につつまれ、この悲しいシーンに拍手が鳴りやまなかった

喧嘩屋五郎兵衛の実兄朝比奈の親分を演じた、博多家桃太郎弟座長は、一の線のこの役を貫禄たっぷり、素晴らしい演技で、
自ら命を絶ち絶命した喧嘩屋五郎兵衛を抱きかかえ、最期に「五郎兵衛ぇー」と大絶叫し終幕となったあの声は今も私の耳に残っている
三下奴、伊之助演じた筑紫桃之助座長は、本当に芝居が上手い
喜劇の主役であれだけ笑わせる技術があるのだから、考えてみたら悲劇の演技も上手くて当然だ
喧嘩屋五郎兵衛と刃を交えるくだりでは、三下奴らしくへっぴり腰で死んでいったが、これは座長の上手さですわな

(お父さんの頭取は別にして、)三兄弟は、喜劇のおりアドリブとかハプニングとか客席いじりとかの安易な笑いを求めるということをほとんどせず、台本通りに演じ、いわば演技力を高めることで笑わせていたように思う
だから私は喜劇でも楽しめたのだと思う
ゆえに、悲劇の場合も、台本通りに演技力で研ぎ澄ませた芝居を演ずるので、アドリブとかは入らない
悲劇はより悲劇らしい芝居となり、私の好みとなる

さすが、九州の劇団だ
花の三兄弟のこの特別狂言に、グワンと頭をブン殴られたような心持ちだ
予定では1時間の芝居が、この日は1時間20分
大熱演に満足した

正直言うと、この日行こうか行くまいかと迷ったのだが、悲劇だったので行った
この日の芝居は、喧嘩屋五郎兵衛だと教えてくれた、かすみブログのかすみさんに、お礼を申し上げます

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芝居後の口上挨拶
この日は、座長でなく、玄海花道花形が口上した

喧嘩屋五郎兵衛には各劇団によって、いろいろなバージョンの結末があります
極端な例では、五郎兵衛が最期は、ほかの女と一緒になり、ハッピーエンドで終わるという結末さえあるんですが、
三兄弟のは、オーソドックスな悲しい結末となってます

この話を端緒として、とても印象的な話があった

昔は、筑紫桃太郎一座では、喧嘩屋五郎兵衛はやってなかったのです
なぜするようになったかというと、僕が仲の良かった小林劇団の小林正利から教わったからなんです
正利くんとはほんと仲が良くって、お互い公演時間にも拘らず、電話がかかってきて、どうしたのというと、いやなんでもないんだけど、そんな気の置けない間柄だったんですよ
正利くんが急性白血病で亡くなってから、もう4年になりました、早いものですね

そんな話をされていた

小林劇団の小林正利花形を、残念ながら私は見たことがないが、演劇雑誌の役者のインタビューでも、ときおりだが、いまだに名前が出てくる
8月の奥道後劇場の小林劇団の公演では、未だ小林正利花形のタペストリーが飾られていた
11月の小林劇団は、九州演劇協会会長の玄海竜二がプロデュースした阿蘇劇場喜楽座のこけらおとし公演を行った
おそらく喜楽座にも、小林正利花形のタペストリーが飾られていたことだろう
20歳の若さで夭折した小林正利花形、彼が演劇界で生きてた痕跡と影響は、今でもところどころで目にすることができる

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11月奥道後劇場の番組表

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最期まで真っ白だった


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コメント
この記事へのコメント
いい作品ですよね

「喧嘩屋五郎兵衛」……私も鳳凰座さんのお芝居で拝見しました。

鳳凰座さんでは、五郎兵衛に貴之介さん、子分の亥之助には退団された役者さん、そして五郎兵衛の実兄の親分役を加津也座長が演じられていました。

五郎兵衛役の貴之介さんがとても上手に演じられていました。
加津也座長がなかなか登場なさらないので、座長ファンの私としては「何故だろう」と、少し不満に思っていたのですが、登場なさってからの座長の演技は本当に素晴らしく、やはり存在感の大きさを見せつけられたようでした。

五郎兵衛最期のシーンは、貴之介さんと座長の迫真の演技で、演舞場は静まり返り、本当に素晴らしかったです。

三兄弟の方々の「喧嘩屋五郎兵衛」は拝見しておりませんが、加津也座長が「前は僕が五郎兵衛の役をやっていたんです」とおっしゃっていたので、お兄様の劇団におられる時に五郎兵衛を演じられていたのでしょうね。
加津也座長の五郎兵衛も拝見したいものです。

五郎兵衛役は、もちろんかなりの演技力を要すると思いますが、弟を失った親分役の悲哀を演じるのもとても難しいと思います。
山口様がご覧になられた「喧嘩屋…」では、やはり桃之助座長の演技が際立ってらしたとお感じになられたような書き方をなさってましたが、同じお芝居でも……また演じる役柄をどの役者さんがなさるのか…でも見方が変わってくる、とてもいい作品なのですね。

私も山口様のブログを拝見して、他の劇団さんでのこのお芝居をぜひ拝見したいなと思いました。
2014/12/01(月) 01:02 | URL | コスモス #-[ 編集]
コスモスさんは、鳳凰座の喧嘩屋五郎兵衛をご覧になられたのですね
それはいいですねえ
今回の松山公演ではなかったので観れませんでしたが、いつか絶対観たいです
五郎兵衛の実兄朝比奈は、終盤しか出てきませんが見せどころのある役ですね
そして、貫禄がないとつとまりませんな
加津也座長なら、貫禄たっぷりに朝比奈を演じ、絶命した五郎兵衛を抱きしめるでしょう
五郎兵衛役の加津也座長、これもみてみたい
鳳凰座の不朽の名作、森の石松を演じられた加津也座長だから、五郎兵衛もきっとはまり役ですね
両方演じ分けができる方ですから、両方みてみたい

他劇団の件です
私は、今年の5月に三代目鹿島順一劇団を観て大衆演劇に嵌りました
6月以降、松山にくる劇団を観て、鹿島劇団ならこんな芝居はしない、といった具合に不満が多かったのですが、ある時期からこの劇団にはこういう良いところがあるなあと言った風に替わりました
最近は松山にある二つの劇場にくる劇団をそれぞれ2回以上みることにしてます
1回だけだと、芝居の外題が自分の好みか否かによって満足度が違うので、リスクがありますが、
2回以上だと自分の好みの劇団か否かが、ある程度評価できます
この劇団はいいなあとか思えるようになりました
やはりこの道で飯を食ってるプロの役者さんなので、それぞれ魅力があります
もちろん二回観ても私が好きになれない劇団もありましたが

それを続けていたら、今回の鳳凰座の森の石松のような、素晴らしい舞台にも出会えたわけです
私は大衆演劇初心者なので、今はいろいろな劇団、いろいろな芝居を観たいと考えてます
やはり比べることにより、よりその劇団の良さとか不足してるところとかを発見できるのではないかなあと思いますね
2014/12/02(火) 06:14 | URL | 山口ジジイ #-[ 編集]
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